ルーブル美術館の彫刻 1‐イタリア彫刻

大理石の魅力

 ルーブル美術館には、絵画もモリモリてんこ盛りですが、彫刻も恐ろしくたくさん収蔵・展示されています。古代エジプトの神様、ギリシャの壺、なんだかわからない門のレリーフなんかも展示されているのですが、やはり見ていて楽しいのは見目麗しい女性の彫刻です。漫画ハチミツとクローバーで、はぐちゃんが「大理石がとろけそう」と言っていたのが分かります。本当になめらかな石の表面は、ひんやりとはしていますがつるつると肌触りが気持ちよく、それが女性の形をしていたのならいつまでもぼんやりと触り続けていられるような魅力があります。

 もちろんルーブルで実際に展示されている彫刻を触ることはできないので、他の大理石を触った時の感触を思い出して、ですが、鑑賞しながら視覚でその滑らかさを存分に楽しむことができます。

美術のややこしいところ

こちらは「眠るヘルマプロディートス(Hermaphrodite endormi)」、もしくは「ボルゲーゼのヘルマプロディートス」という作品です。1608年にイタリアで発見されて、人物の作者は分かっていません。この見事な彫刻を寝かせるために、新たに作られたマットレスは、イタリアの超・有名彫刻家ベルニーニ作のもの。「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」とまで言わしめた巨匠です。
 カミロ・ボルケーゼ公はナポレオンの義理の弟で、作品の元の持ち主の名前です。そのため、このルーブルに所蔵されているものは「ボルケーゼの」と言われます。美術品はだれが持ってるかっていうのは重要なので、コレクターの名前も情報として重要です。そのため、コレクター名で呼ばれることも多いです。
 
 このモデルの名前もヘルマフロディトスとかヘルマプロディトスとか色々言われますが、カタカナにしたときいい感じの音がその辺ってことですね。フランス語読みとイタリア語読みとラテン語でちょっと違うとかそういう感じです。
 作品詳細はルーブル公式の説明に書いてあるので割愛します(画面右上のオレンジ色のところで言語を選択出来ますが、日本語にすると画像が出ないのでフランス語のページに行きます。文章読むときは日本語を選択するとまぁまぁ読める日本語が出てきます)

美しい曲線美………??

 上の写真では割と男の子っぽい背中とおしりですね。ところがこの人、反対側から見るとこんな感じなんです。

ん…?やわらかそうな胸が………いや…なんか…下半身について…る……??

この写真の角度から見ると女性っぽい。(この2枚の写真はwikiから拝借しています)すっごく。すっごく絶妙な男女の融合。ルーブル美術館で超美人でセクシーでアンニュイなふたなりさんに出会ってしまった衝撃。もう、この彫刻の周りを何度も何度もぐるぐるぐるぐ回って見てしまって、それでいて見たらいけないものを見ているようななんかちょっと変な気分にもなってしまって、本当に、「作者この変態め」と思いつつ目が離せない美人さんなのです。
 またこのクッションの感じがとてもやらしい。石とは思えないふわふわ感の表現。そして絡みつく布がセクシーさを倍増させている。けしからん。後から作ったとは思えないほどマッチしています。さすが巨匠ベルニーニ。けしからんのですルーブル。 
 ルーブル以外にも、イタリア、ローマのボルゲーゼ美術館、ローマ国立美術館、フィレンツェのウフィツィ美術館、フランス北部のリール美術館、ロシアのエルミタージュ美術館にも、表現は少々違えど、似ているヘルマプロディートスさんがいるようです。
 詳しいことは分かりませんが、紀元前2世紀ころ、ギリシャ神話を題材にギリシャで作られたものを、ローマ人がコピーして作ったのではないかと言われています。紀元前2世紀って。キリスト生まれる200年も前にこんなセクシーな像を作ってたんですよ。ギリシャ人もローマ人も、最高ですね。ありがとうございます。

元ネタの(酷い)ギリシャ神話

 因みになんでこの人、こんなふたなりさんなのかといいますと。すっごく端的に言うと、泉で水浴びしようとしたら、突然女の子に襲われて「彼と一生離れたくないわ!!」というお願いを神様がうっかり聞いてしまったから。「じゃあ二人とも体くっつけば?」という投げやりな聞き入れ方をされて、こうなってしまったという、なんとも悲劇の少年なのです。若干15歳の頃の話だそうで、この少年は特になんにも悪いことをしてないようなのに、こんな体にされてしまったそうです…

 ちなみにギリシャ神話では両性具有は彼だけらしく。そんな突然ヤンデレの襲撃を受けた彼は、事件現場となった泉に「この泉の水を浴びたものはみんな自分と同じような体になってしまえ!!」と呪いをかけたそうです。きっと、らんまが落ちた泉はこれですね。

 このヘルマプロディートスさん、お父さんは旅と商売の神様で何人もの女性と通じるヘルメス、お母さんは愛の女神アフロディーテ、弟は男性器の神様プリアーポリスと、なんともエロいイメージから離れられない悲運の少年。エピソードもこれしかないみたいで、なんとも…払拭できない感がさらに残念です。

 絵画の中でも何度も描かれている人気題材ヘルマプロディートスさんですが、物語の挿絵的なイメージを強く受けていて、常に女子に襲われる可哀そうな姿で描かれています。それなのに、この像は、合体しちゃった後の姿で、ストーリー性は皆無なのに、像のあっち側とこっち側で見る人の印象が全く違うので、ウロウロうろうろ回って見てしまい、常に新鮮な驚きと感動を与えてくれます。
 正直、ルーブルでこの像を見たとき私はなんの知識もなかったので、ただひたすらに「大昔の人が作ったやたらにセクシーなふたなりさん」を一生懸命鑑賞していたのです。それでも、ただただ見れる。見飽きない。そんな美しさと魅力のある、ヘルマプロディートスさんなのでした。


コメント

タイトルとURLをコピーしました