ルーブル美術館には、一日では見切れないほど多くの作品があります。
そのなかでも「ルーブルへ来たなら、まず見ておきたい」といえる有名作品が、次の3つです。
館内でも、この3点はわかりやすく案内板が出され、広すぎるルーブル内での位置の把握にも一役買っています。
- レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」
- 古代ギリシャ彫刻の「ミロのヴィーナス」
- 翼を広げた勝利の女神「サモトラケのニケ」
絵画が1点、彫刻が2点。制作された時代も、作者も、作品の状態も異なります。
それでも3作品には、長い年月を経ても見る人の想像を刺激し続ける、不思議な共通点があるように思います。
この記事では、3作品の基本情報と実際に見た感想、そして私が感じた「想像する余地のある美しさ」について紹介します。
目次
ルーブル美術館で必見の有名作品3選
モナリザ|世界で最も有名な肖像画
「モナリザ」は、イタリア・ルネサンスを代表する芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた肖像画です。
描かれている女性は、フィレンツェの絹商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リザ・ゲラルディーニと考えられています。
制作時期は1503年ごろから1519年ごろ。輪郭をぼかすように色を重ねる「スフマート」という技法や、見る人によって印象が変わる謎めいた微笑みで知られています。

ルーブル美術館で実際に見たモナリザ
小さいと聞いてはいたものの、やはり実物を前にすると、「思ったより小さいな」と感じました。
モナリザは保護ガラスの中に展示され、鑑賞者との間にも距離があります。写真でも遠く感じますが、実際の鑑賞位置付近から見たモナリザの姿です。
この時は夜間の閉館間際の時間で人がいませんが、普段はおびただしい数の観光客が、黒山の人だかりとなって小さなモナ・リザを一目見ようと詰めかけています。
さすが、世界一有名な肖像画の名に恥じぬ、人気ぶりです。 厳重に保護されたガラスの向こうから、やや薄暗く沈んだ絵の中で、不敵な笑みを浮かべるモナリザ。
彼女と対面するのは、度重なる盗難や様々考察などの雑多な情報が多く、一枚の絵として落ち着いて鑑賞するのはなかなか難しいです。
モナリザについて、さらに詳しくはこちらの記事で紹介しています。
ミロのヴィーナス|失われた両腕が想像を誘う
「ミロのヴィーナス」は、1820年にエーゲ海のミロス島で発見された古代ギリシャの彫刻です。
作者は分かっていません。ルーブル美術館の作品情報では、制作時期は紀元前150年から紀元前125年ごろとされています。
ギリシャ神話に登場する愛と美の女神、アフロディーテを表した像と考えられています。

ミロのヴィーナス
ミロのヴィーナスには両腕がありません。
かつて両腕がどのような形で、何を持っていたのかについては、現在もさまざまな説があります。
失われた部分があるからこそ、見る人は「本来はどんな姿だったのだろう」と想像します。
その答えが一つに決められていないことも、この作品が長く人を惹きつける理由なのかもしれません。
高さ約2mで、尚且つ台座に載っているヴィーナスは、見上げる状態での鑑賞となり、「存在感あるなぁ」と思わずにはいられません。
下半身を覆うたっぷりとした布の表現と、上半身のシンプルな肉体美のコントラストが、眺めても眺めても飽きさせません。
ミロのヴィーナスについて、さらに詳しくはこちらの記事で紹介しています。
サモトラケのニケ|風を受けて立つ勝利の女神
「サモトラケのニケ」は、1863年にエーゲ海のサモトラケ島で発見された彫刻です。
制作されたのは紀元前2世紀ごろ。ギリシャ神話に登場する、勝利の女神ニケを表しています。
ルーブル美術館では、大階段の踊り場に堂々と立つ姿を見ることができます。

サモトラケのニケ
頭部と両腕は失われていますが、大きく広げた翼や、風を受けて身体にまとわりつく衣の表現から、今にも前へ進みそうな力強さを感じます。
正面から見るだけでなく、階段を上りながら少しずつ近づいていく時間も、この作品を鑑賞する楽しみの一つです。
こちらも大きな台座の上に置かれているため、見上げるような鑑賞になります。
もともと軍船の船首をかたどった台座に立ち、勝利を記念するために奉納されたと考えられていることを知ると、現在の展示も作品本来の迫力を思い起こさせます。
上半身の薄布と、下半身の厚手の布の表現がすばらしく、いつまでも周辺をぐるぐる回って見続けてしまう魅力があります。
サモトラケのニケについて、さらに詳しくはこちらの記事で紹介しています。
3作品に共通する「想像する余地」
この3作品は、すべて同じ意味で「未完成」なのではありません。 ミロのヴィーナスとサモトラケのニケには失われた部分があります。
一方、モナリザには彫刻2作品のような大きな欠損はありません。ただし、レオナルドが長く手元に置いて制作を続けたとされ、完成をめぐってもさまざまな見方があります。
3作品とも、見る人に「分からない部分」を残しています。
- モナリザは、どうして肖像画なのにずっとダヴィンチの手元にあったのか
- ミロのヴィーナスの両腕は、どのような姿だったのか
- サモトラケのニケは、どのような顔で勝利を告げていたのか
作品を見ただけですべての答えが分かるわけではありません。だからこそ、見た人は作品の続きを想像します。
最後の味付けを、見る人に委ねる美しさ
以前の私は、「完成された作品こそ、一番美しいに決まっている」と思っていました。
でも今は、最高の天ぷら職人が揚げた天ぷらに、少し似ている気がしています。 職人は、最もおいしい状態に揚げた天ぷらを目の前へ出してくれます。
でも、それを天つゆで食べるか、塩で食べるか、そのまま味わうかは、食べる人に委ねられています。 作品にも、同じような余地があるのかもしれません。
確かな技術と美しい表現が土台にあり、その先にある物語や感情は、見る人が自由に想像できる。
モナリザの表情も、ミロのヴィーナスの腕も、サモトラケのニケの顔も、正解を一つに決められないからこそ、何度でも見たくなるのではないでしょうか。
初めてルーブル美術館へ行くなら
ルーブル美術館はとても広く、見たい作品を決めずに歩き始めると、館内を移動するだけでも疲れてしまいます。
初めて訪れるなら、まずこの3作品を軸にして、途中で気になった作品へ寄り道する見方がおすすめです。
展示場所は変更される可能性があるため、訪問前にはルーブル美術館の公式サイトや当日の館内案内で確認してください。
初めてルーブル美術館を訪れたときの体験は、こちらの記事にまとめています。
モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ。
有名だから見るだけではなく、作品の前で「自分にはどう見えるだろう」と少し立ち止まってみてください。
同じ作品でも、見る人や訪れる時期によって、違った物語が見えてくるかもしれません。
作品情報は、ルーブル美術館公式サイトおよび公式コレクションの情報を参照しています。
※ツアー内容・対応言語は商品ごとに異なります。日本語対応の有無を予約画面で確認してください。